イ・ラン「悲しくてかっこいい人」

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もちろん海の中には、うつくしくてきれいなものもたくさんいた。

地上では見られないものばかりだった。

普段の生活では知ることのできない、夢にも見ることさえできない場所だった。

必死で息を吸って吐かないとならない場所、隣にいる友人に話しかけることさえできない場所。そこは死と隣合わせだった。

その感覚が忘れられない。

神様がいたら、一瞬でも海中に留まったという理由でわたしを殺すかもしれないとさえ思った。天まで届くバベルの塔を建てようとした人たちを罰したように。

だからわたしは水面休息の時間に泣いてしまい、もう二度とやらないと決めたのだ。

 

しかし一時間後、わたしはまた海に入っていた。

ライセンスを取るために支払った五百ドルがもったいなかったのだ。