引越荷物

父や母の歴史を

軽んじてはならないと思う


父の机 母のノート 白黒の笑顔の写真

ながめていると

高揚した気分が伝わってくる



父は文学と革命をこころざし

とつぜん32の若さで死んだ

母は古いしがらみを断ち切り

モダンに生きて

後半 頑固にぼけた


終わりよければすべて良し

でいうなら

そうならなかったふたりのことは

まっ 人生そんなもんだ

とあっさり受けいれた


荷物の整理をすると

残されたモノが

よくみて 想像して もっと 近くで

とざわめくから


目をとじて みていたら


暗闇に星がひかった




長かろうが短かろうが


途中途中の光りを

軽んじてはいけないのだ


宇宙の次元で

死者を想う